埼玉支部の新井です。
この度は古民家の事を皆さんに知って頂こうと、古民家の勉強会をブログを通じて目の前の皆様とご一緒に勉強をしていこうとこの様な企画を立ち上げました。
私自身古民家再生協会に携わってまだ四ヶ月程です。古民家に対する理解をより深めつつ、そして皆様にも古民家とはどういうものであるかを学んで頂ければと思います。
私は幼い頃親戚の農家さんの家が在来工法でしたが、昔ながらの古民家でした。壁はしっとりとした手触りの漆喰。床板や柱も黒くて、また家自体は日陰が多くて陽当たりはよくありませんが夏は涼しかった記憶があります。今はもう新築の家になってしまいましたが、そういった古民家での生活があればこそ古民家を遺していこうという再生協会の仕事にも情熱をもって当たれるのかと思います。
古民家が好き。そういった思いからでも構いません。古民家が好きでなければこのお仕事は続けられないでしょう。しかし好きなだけで終わってもまたダメだと言われました。古民家に対する知識を深めて古民家を再生できる専門家にならなければなりません。
話が逸れてしまいました。しかし今の話の中にも古民家の専門用語を少し使っていました。『漆喰-しっくい-』という白い壁。古民家には漆喰という材料が使われています。
また『在来工法-ざいらいこうほう-』という言葉も古民家の工法のひとつとして存在しています。
そういった専門用語もこれから皆様と少しずつ勉強をして行ければと思います。
先ずは古民家とはなんなのかを皆様にも知って頂きましょう。
古民家という言葉は近年皆様も耳にするようになってきたと思います。しかし実際古民家ってどんな家?と思う方も多いと思います。
古民家とは。
築50年経った家の事を『古民家-こみんか-』と呼んでいます。50年、半世紀と聞くと確かに古いけどという印象もあると思いますが、これは登録有形文化財制度に合わせて築50年というひとつの目安としています。
実際には建築基準法が出来た昭和25年以前の築68年以上経った『石場建て工法』の家を古民家としています。
『石場建て工法-いしばだてこうほう-』という言葉が出てきました。これは古民家に使われている古い基礎の仕組みです。
今の家はコンクリート基礎の上に家が建っていますが、古民家は『礎石-そせき-』という自然石の上に、石の凹凸に合わせて削った柱が立てられてます。土台の上に石を置かれ、その上に柱が立てられていたらその家は古民家であると判断できます。
この石場建て工法で建てられた古民家は、古民家でも『伝統工法-でんとうこうほう-』の古民家として扱われます。
古民家は大きく別けて二つの区分があります。
石場建て工法である『伝統工法』、コンクリート製の布基礎が使われていて柱が金物で固定されていたりと、耐震基準法に沿って作られている家を『在来工法』と呼んでいます。
伝統工法と在来工法は地震に対する考え方から既に構造が違います。
伝統工法は地震がやってきたら建物が揺れて地震の揺れの力を逃がして揺れの力を減らす免震と、柱の組み方で揺れを抑える制震の二つの性質を持つ『柔構造』という仕組みで家が建てられています。
在来工法では今の建築基準法に合わせて柱と柱は金物で接合部を固定され、壁もたくさん使われていて揺れに対して家が揺れないように耐える耐震的である『剛構造』という仕組みで家が建てられています。
古民家でも伝統工法と在来工法は存在しています。その見分け方は一番早いのは基礎の部分を見ることです。コンクリートで周りが固められていても、礎石があって伝統工法で建てられているということもあるので、基礎を見る時は注意深く見る時も必要です。
今日は古民家の見分け方と伝統工法と在来工法の触りを説明しましたので、次回は古民家がどういう考えに基づいて建てられたものなのかを勉強したいと思います。
やはり昔の家と今の家では構造もそうですが、家に対する考え方も違います。
それではまた次回をお楽しみに。